相続コラム

<相続の豆知識> Q13:前妻の子のために、後妻になるべく相続させない6つの方法は?~遺留分の侵害~

2025.09.04

■ 再婚家庭で起こりやすい相続トラブル
再婚のご家庭が近年増えており、日本では4組に1組が再婚といわれています。
このとき、注意すべき相続トラブルは、「後妻(夫)と前妻(夫)の子」が同時に相続人になるケースです

その理由は、「後妻が相続した財産は、その後に前妻の子には渡らない」からです
後妻が亡くなると、その財産は後妻の兄弟姉妹などが相続することになり、前妻の子のもとに戻ることはありません。

例えば、法定相続人が「後妻」と「前妻の子」の2人だった場合、夫が亡くなったときの相続分はそれぞれ1/2ずつ。
夫が「自分が亡くなった後は、前妻の子に財産を残してほしい」と希望しても、後妻がその約束を守らず、自分の親族に渡してしまう可能性もあります。

 夫 :「私の遺産は、君が亡くなった後、私と前妻との間の子に渡してくれないか?」
後妻:「いいわ、遺言書を書いておくわね」
…夫が亡くなった後
後妻:「やっぱり、私の可愛い甥っ子にあげたいわ…遺言書を書き直そう」

なるべく前妻の子に遺したいなら、こうした口約束では心配でしょう
そのため、事前の法的対策は欠かせません。

■ ポイントは「遺留分」
ただし、後妻にも「遺留分(最低限の取り分)」が認められています(民法1042条)。
今回のケースでは、後妻の遺留分は 1/4(法定相続分1/2 × 遺留分割合1/2)。
つまり、どのような対策をしても、最終的に後妻から遺留分を請求されれば、その分は支払わなければなりません

■ 後妻にできるだけ相続させない6つの方法
① 遺言書を作成する
遺言書があれば、前妻の子に全財産を相続させることが可能です。
ただし、後妻が遺留分(1/4)を請求すれば、その分は金銭で支払う必要があります

② 10年以上前に生前贈与をしておく
父が生前に前妻の子へ財産を贈与し、10年以上経過すれば、その分は原則として遺留分に算入されません(民法1044条)。
ただし「不当な目的(他の相続人に損害を与える意図)」があると判断されれば、遺留分に含まれてしまうため注意が必要です。

③ 生命保険を活用する
生命保険金は「受取人固有の財産」とされ、原則として遺産分割の対象外です。
前妻の子を受取人にしておけば、そのまま金銭を渡せます。
さらに、保険金は遺留分の対象外とされるため、保険金の支払いで預金を減らしておくことで、遺留分の対象財産を少なくする効果もあります

ただし、相続人間に著しい不公平が生じる場合は、遺留分に含められる可能性があるため注意してください(最判平成16年10月29日)。

④ 養子縁組をする
後妻と前妻の子が養子縁組をすれば、後妻が亡くなったとき、その遺産は前妻の子が相続できます。
ただし、本当は「親子の関係を持つ意思がなかった」と判断されれば、無効とされるリスクがあります

⑤ 生前に「遺留分放棄」をしてもらう
後妻が家庭裁判所で「遺留分放棄」の許可を得れば、請求されるリスクはなくなります。
ただし、他の親族による不当な圧力を受けていたような場合は、家庭裁判所で却下されるでしょう
実際には、老後の生活資金を十分に確保した上で放棄してもらうなど、後妻に合意してもらうための話し合いが不可欠になります。

⑥ 家族信託を活用する
遺言では「自分の相続の次」までは指定できませんが、家族信託なら可能です
その名のとおり、家族信託とは、家族を信じて財産を託す契約のことです。

例:夫(委託者)が、信頼できる親族(受託者)に財産を託す契約を結ぶ
  夫が亡くなった後は、後妻(第一受益者)に渡す
  後妻が亡くなった後は、前妻の子(第二受益者)に渡す

もし先祖代々守ってきた土地を直系に継がせたいような場合は、この家族信託は有効な方策になるでしょう。
ただし、後妻が亡くなったとき、その兄弟姉妹から遺留分を請求された場合は支払う必要がある点は変わらないため注意してください。

■ まとめ
再婚家庭の相続では、「後妻の生活を守りながら、前妻の子にどう遺すか」が大きな課題になることが多いです。
遺言・保険・家族信託などをうまく組み合わせれば、ご希望に沿った遺産の引継ぎをすることも可能です。

ただし、法律や税務の判断が絡むため、最善の対策はご家庭の状況によって異なります。
「自分の家庭はどうすべきか?」と迷われるときは、ぜひ一度専門家にご相談ください

当事務所では、再婚家庭の相続に関するご相談を多数お受けしております。
大事なご家族が安心して相続を迎えられるように、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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