相続コラム

<相続の豆知識> Q5:自筆で遺言書を書いたのに、「無効」になる10のケースとは?

2025.07.30

近年、相続対策として「遺言書」を用意する方が増えています。
その中でもよく使われているのが、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があればすぐに作成できるため、手軽な反面、ちょっとしたミスで「無効」と判断されてしまうリスクがあります。

せっかくご本人が遺してくれた大切な遺言書が、形式不備で無効になるのはとても残念なことです。
そこで今回は、「自筆証書遺言が無効とされる10のケース」をご紹介します。

① 本文が自筆でない
自筆証書遺言は、全文を自筆で書く必要があります。
ただし、2019年1月の法改正により、財産目録については代筆やパソコン作成が可能になりました。
なお、ビデオレターや録音による遺言は無効です。

② 財産目録に署名・押印がない
財産目録が自筆でない場合は、すべてのページに署名と押印が必要です。

③ 日付・氏名の記載がない
作成日や氏名を自筆で記載しなければ、無効となります。
特に日付は「〇月吉日」や年号の記載漏れなど、不明瞭な表現は無効とされます。

④ 押印がない
印鑑は認印や拇印(指印)でも有効ですが、押印がない遺言書は無効です。
欧文サインを有効とした判例もありますが、極めて例外的です。

⑤ 財産や相続人が特定できない
たとえば、「自宅を長男に、別宅を次男に相続させる」と書いても、不動産の地番や家屋番号が明記されていないと、どの財産を指すのか不明確となり、無効になることがあります。
相続人についても、氏名・続柄・生年月日・住所などで明確に特定しましょう。

⑥ 共同遺言になっている
遺言は、一人で作成するものです。
「私たち夫婦は〜」といった共同遺言ですと、一人の意思だけで自由に撤回や変更ができないため、無効になります。

⑦ 公序良俗に反する内容
たとえば、愛人に財産を遺すといった遺言は、不倫関係の維持や継続といった不適切な目的である場合は無効になります。
一方で、生活の保全を目的とした場合には有効とされた裁判例もあります。

⑧ 遺言時に意思能力がなかった
認知症などで遺言能力が欠けていた場合、その遺言は無効になります。
ただし、「認知症=無効」ではなく、その時点の心身の状況や遺言者と相続人の関係性、遺言の内容などを総合的に判断します。

⑨ 錯誤・詐欺・脅迫によるもの
これらの遺言は取り消すことが可能ですが、立証が難しいため、裁判で認められる事例は数少ないです。

⑩ 偽造された遺言書
他人による筆跡の偽造や内容の改ざんは、当然ながら無効です。
さらに、偽造をした者は相続権を失います(民法891条)。

■ 相続トラブルを防ぐために
自筆の遺言書は、きちんと「書いたつもり」でも、実際は無効になることが少なくありません。
ご家族のために遺したはずなのに、かえって相続争いの火種になってしまうケースもあります。

当事務所では、有効な遺言書の作成サポートはもちろん、遺言者が亡くなった後の自筆遺言書の検認や執行手続きまで丁寧に対応しております。

「自分の遺言書がちゃんと効力を持つか不安・・・」
「親が残した遺言が有効かどうか、確認したい・・・」
そんなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

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