相続コラム

<相続の豆知識> Q1:「認知症」の相続人がいると、相続登記はできない?

2025.07.07

ご両親のどちらかが亡くなり、「実家の名義変更をしたい」というご相談は非常に多く寄せられます。
しかし、いざ手続きを進めようとしたときに、思わぬ壁にぶつかってしまうケースがあるのをご存じでしょうか?

■ 相続登記ができない「よくあるケース」
実は、相続人の中に認知症の方がいると、遺産分割協議ができず、相続登記が進まないことがあります。

これは、法律上「意思能力」がないと判断される場合、
・遺産分割協議
・遺言の作成
・生前贈与
などの法律行為が無効になってしまうためです。

■ ただし、「遺言書」があれば大丈夫なケースも
例外的に、被相続人(亡くなられた方)が有効な遺言書を残していた場合は、
認知症の相続人がいても、その遺言の内容に従って相続登記を行うことができます。

たとえば、
「自宅の不動産は、長男に相続させる」
という内容が遺言書に記されていれば、そのまま登記手続きを進めることができます。

■ 遺言書がない場合の対応策は?
遺言書がない場合、次のような方法で対応することになります。

①     成年後見制度を利用する
認知症の相続人にについて家庭裁判所に申立てを行い、「成年後見人」を選任します。
後見人が代わりに遺産分割協議を行うことで、相続登記が可能になります。

②     法定相続分で登記する
遺産分割協議をせず、法律で定められた相続割合に従って、相続登記をすることも可能です。
ただし、不動産を共有名義にする場合、将来的に売却や名義変更が難しくなることもあります。

③ 相続人申告登記を行う
2024年4月から、相続登記が義務化されました。
登記をせずに放置していると、10万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。
そのため、まずは「相続人申告登記」で登記義務を果たしておくという選択肢もあります。

■ まとめ:大切なのは「早めの準備」
相続は、いざ発生してからでは対処が難しい場面が多くあります。
特に認知症のリスクは、誰にでも起こりうることです。

将来、スムーズにご実家の相続を進めるためにも、遺言書を作成しておくなど、元気なうちに対策をすることが大切です。

■ 相続に関する不安、まずはご相談ください
相続の専門家として、ご家族の想いを大切に、将来にわたって安心できる相続のお手伝いをいたします。

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